インスリンポンプとは、皮下に持続的にインスリンを注入することができるデバイスであり、このポンプを用いて血糖管理を行うことができます。
おもに1型糖尿病(や膵性糖尿病)の方が使用しています。
現在わが国で主に使用されているインスリンポンプは以下の2種です。
・ミニメド780G(メドトロニック社)
・メディセーフウィズ(テルモ社)
どちらも1型(や膵性)糖尿病の方の強力なサポーターとなる機器ですが、それぞれのポンプの違いをご説明します。
当院はインスリンポンプ療法の実績が非常に豊富であり現在40名以上の方がポンプ療法を受けておられます。 知識豊富なスタッフが揃っているため外来でのインスリンポンプの導入にも対応しており、安心して治療を受けていただけます。
インスリンポンプとはなにか?インスリンポンプのメリット、デメリットについては、かがやき糖尿病内分泌クリニック 新神戸院で詳しく説明しています。
国内で使用できる
インスリンポンプ
ミニメド780G
(メドトロニック社)
メディセーフウィズ
(テルモ社)
特にインスリン必要量が少ない患者さんにとっては、基礎インスリンの0.025単位の差が血糖値に大きく影響します。
ミニメドシリーズは細小0.025単位での調整が可能です。
リザーバーとは、インスリンを入れておく小さなタンクのことです。
■メディセーフウィズ:最大2mL(200単位)
■ミニメドシリーズ:最大3mL(300単位)
インスリンをリザーバーに充てんする際に多少インスリンを使用しますし、インスリンをすべて使い切ってから交換するのは危険なので、実際に使用できるインスリンはリザーバー容量より少ない量になります。
インスリン使用量が多めの患者さんでは、容量が少ないと3日間もつか心配ですね。(一般に2~3日毎にポンプ交換を行います)
自動インスリン注入療法(AID)の場合のメリット
AID(Automated Insulin Delivery)療 法 と は 、持続血糖モニターで測定されたグルコース値に連動して、インスリンポンプによるインスリン注入量が自動調整される治療法です。
この機能はADVANCED HYBRID CLOSED LOOP:アドバンスドハイブリッドクローズドループ(人工すい臓)と呼ばれ、1型糖尿病の方の治療にかかる労力やストレスが軽減される画期的なデバイスです。
具体的には、CGMで得られたグルコース値(≒血糖値)の変化をポンプが解析して、このままいけば低血糖になりそう!な時には、インスリン注入を自動的に減量もしくは中断してくれますし、逆にこのままいけば高血糖になりそうな時には、インスリン注入を自動的に増量してくれます。
忙しい毎日のなかで、血糖値を常に気にしつつインスリンの調整を行わなければなかった1型糖尿病の方にとって、その苦労の一部を肩代わりしてくれる機能ではないかと思います。
当院でも多くの患者さんが780Gを使用されていますが、「血糖の変動が小さくなった」「仕事中も血糖値のことをあまり気にしなくてよくなった」「低血糖が減った」「朝起きた時に血糖値が高いことがほとんどなくなった」「気持ちが楽になった」などの声が聞かれます。
血糖コントロールがあと一歩、という患者さんが780Gに変更することにより、低血糖が増えずにHbA1cが改善するのもよく経験します。
具体的にはどのように働く機器でしょうか?
最低48時間のポンプ装着後に「自動モード」にすると、インスリンの自動調整が開始されます。
【基礎インスリン】持続血糖モニターで測定されたグルコース値に基づいて自動調整されます。
【補正インスリン】基礎インスリン量の調整のみでは不十分とシステムが判断した場合には、補正インスリンが自動で注入されます。
食事前のボーラスインスリン注入は患者さん自身で行う必要がありますが、カーボカウントの 見積りのずれなどで予想外に血糖値が高くなった時には基礎インスリン増量や補正インスリン自動注入により血糖が補正されます。
オートモード使用中に使用者が設定可能な項目は「目標血糖値」「糖質インスリン比」「残存インスリン時間」のみであり、「インスリン効果値」「各時間あたりの基礎インスリン注入量」などは自動で決定されます。
目標グルコース値は100mg/dL、110mg/dL、120mg/dLから選択します。運動時など血糖低下が予想されるときには、一時的に目標血糖を150mg/dLまで上げることも可能です。
AID療法では「目標グルコース値100mg/dL」「残存インスリン2時間」の設定が推奨されていますが患者さんの状態により変更可能です。
※ただし、センサグルコース値と実測血糖値の乖離が大きい時、センサグルコース値のデータが得られない時(通信遮断など)、高血糖が持続した時などは、安全のため自動モード(スマートガード)からマニュアルモードに切り替わります。
※「ボーラス注入パターン(食事内容や状況によりノーマル/スクエア/デュアルを使い分ける)」「一時基礎レート(一時的に基礎インスリン注入量を増やす/減らす)」は設定・使用できません。
これが最大の強みです。
Bluetooth接続であり、ポンプ本体とリモコンはBluetoothで接続されており、1.5m以内であれば通信できます。
リモコン画面は非常に見やすく操作もわかりやすいです。 下図は「基礎レート」「ボーラス」を押したときの画面です。
どのポンプであっても、ポンプ装着・交換手技の習得がひとつのハードルになります。
装着方法に関しては、ミニメドよりもメディセーフウィズの方が、ややシンプルな印象です。
(ただし、どちらのポンプにしても何度か行ううちに皆さん習得されますので心配はいりません)
ミニメド780Gがおすすめな方
メディセーフウィズがおすすめな方
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